【この記事の概要】
長く暮らしてきた家。壁の色が少しくすんで見えたり、床の軋みが気になったり──「そろそろ手を入れたほうがいいのかな」と感じる瞬間、ありませんか?
築20年を過ぎた家には、古さだけでなく、積み重ねた時間の温もりがあります。壊して新しくするよりも、“今の暮らしに合う形で整える”。そのほうが、その家らしさを残しながら、ずっと心地よく暮らせることも多いんです。
このコラムでは、そんな築古の家を快適に生まれ変わらせるためのリノベーションの考え方を、素材・間取り・光の使い方を交えてお話しします。
1. 古い家こそ“伸びしろ”がある
古い家をどうにかしたい。そう思ったとき、多くの人がまず「どこを直す?」と考えます。でも、リノベーションの本質は“直す”よりも“活かす”こと。
梁の太さ、木の色の深み、風の通り道。築年数を重ねた家には、時間を経てしか出せない味があります。その良さを残したまま、今の暮らしに合わせて整えていく──それが「蘇らせる」リノベーションです。
壁紙を替えるだけでも、空気は変わります。たとえば、光をやわらかく反射するクロスに張り替えれば、昼間のリビングがぐっと明るく感じられます。床をフロアタイルやカーペットに変えるだけで、足ざわりや温もりがまるで違ってきます。
2. 快適さを生む内装の工夫(+費用・難易度の目安表あり)
リノベーションで“心地よさ”をつくる鍵は、見た目よりも素材選び。
フロアタイルは、木目や石目の質感を再現しながらも丈夫で掃除がしやすい。一方、カーペットは防音性と温かみがあり、素足で歩くとやさしい感触があります。「どんな時間をこの部屋で過ごしたいか」から素材を選ぶと、長く愛着が持てます。
窓まわりも忘れがちですが、暮らしの印象を左右するポイントです。ブラインドの角度を少し変えるだけで、朝の光が柔らかく広がる。厚手のカーテンを冬場だけ使えば、断熱効果も上がります。季節に合わせて“光を整える”工夫が、快適さを支えます。
どこを直すとどれだけ変わる?
家の印象を変えるには、「どこを手を入れるか」で効果もコストも変わります。下の表は、築古住宅で人気の高いリニューアル項目を、見た目の変化度・コスト感・施工の難易度でまとめたものです。
| 改修ポイント | 見た目の変化度 | コストの目安 | 難易度(施工・期間) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 壁紙(クロス)張り替え | ★★★★☆ | 約1,000〜1,800円/㎡ | ★☆☆(1〜2日) | 光の反射で空間が明るく。手軽で効果的 |
| フロアタイル貼り替え | ★★★★☆ | 約8,000〜15,000円/帖 | ★★☆(2〜4日) | 木目・石目など豊富。耐水性・掃除のしやすさ◎ |
| カーペット敷き替え | ★★★☆☆ | 約6,000〜12,000円/帖 | ★★☆(2〜3日) | 防音・断熱性に優れ、冬の足元を暖かく保つ |
| カーテン/ブラインド交換 | ★★★☆☆ | 約2〜5万円(窓1面) | ★☆☆(即日) | 季節や時間で光を調整。模様替え感覚で印象UP |
| 障子・建具リニューアル | ★★★☆☆ | 約2〜6万円(1面) | ★★☆(2〜3日) | 光をやわらかく通し、和モダンな雰囲気に仕上がる |
※金額はあくまで目安です。建物の状態や素材によって変動します。
リビングのクロスと床を替えるだけでも、まるで新築のような明るさと清潔感が戻ってきます。逆に、和室の障子を新調するだけで、空気がふっとやわらかくなることもあるんです。
3. 暮らしを整える間取りの見直し
古い家は、部屋が細かく仕切られていることが多いですよね。でも、今の暮らしに合わせて“つながり”を持たせると、広さを感じやすく、家全体の空気が流れやすくなります。
廊下を減らしてリビングを広げる。和室とダイニングをつなげる。そんなときに頼れるのが、障子や間仕切り建具です。
光と風を通しながら、必要な時だけ閉じる。区切るけれど、閉じすぎない。今の暮らし方に合う“やわらかい境界線”が生まれます。
4. 断熱と光のリノベーション
築年数が経つと、どうしても「冬は寒い」「部屋が暗い」という声が多くなります。でも、断熱と照明を少し見直すだけで、驚くほど変わります。
床を張り替えるタイミングで断熱材を入れる。壁紙を貼り替えるときに遮熱シートを仕込む。そんな“ついで”の工夫が、快適さを底上げしてくれます。
照明はただ明るくするのではなく、壁や天井を照らす“反射光”を意識。やわらかい陰影ができると、部屋に奥行きが生まれます。
5. 家を再生して、これからを暮らす
古い家を直すというのは、過去を捨てることではありません。
むしろ、その家に流れてきた時間を、今の暮らしに溶かし込む作業です。
柱や梁をあえて残す。障子越しの光をそのまま活かす。そんな“残すデザイン”が、家に深みを与えます。
クロスの色、床の素材、光の角度。どれも小さな選択ですが、その積み重ねが家の表情をつくります。
まとめ
家は、築年数よりも「どう手をかけてきたか」で居心地が決まります。
ほんの少しの工夫で、古い家は見違えるほど快適になります。あなたの家にも、まだまだ伸びしろがあります。
この記事について
この記事は、内装仕上工事のプロフェッショナル「ヒロ室内装飾」が執筆・監修しました。
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